写真提供:
歌舞伎小道具製作技術保存会
歌舞伎の小道具は、基本的に扇子など舞台で俳優が手にする道具を指しますが、鎧や刀、煙草入れや下駄など俳優が身に付けているもの、駕籠などの乗り物、箪笥などの家具や食器類、食べ物など、非常に広範囲にあたります。
小道具は舞台での使用を考慮して、軽く(短い舞台転換の間に少人数で持ち運ぶため)、丈夫で使いやすく(毎日の公演で破損しないため)、本物らしく(実物とは素材や大きさが異なるため)製作されます。その製作技術には、歌舞伎が誕生した江戸時代以来培われた先人たちの工夫があります。
しかし、現在の生活では用いられていないものも多く、小道具製作者には技術の習得だけではなく、どの芝居でどのような使われ方をするのかという歌舞伎に対する深い理解も要求されます。
なお、歌舞伎には、建物や背景画を製作する大道具や、俳優の衣裳を製作・修理し、着付を行う仕事(技術)もあります。
写真提供:
歌舞伎衣裳製作修理技術保存会
他に、沖縄の伝統芸能である「組踊」でも、同じように上演に不可欠な陣笠や編笠などの道具や、役柄に応じた伝統的な衣裳を製作・修理する技術があります。
そして、これらの舞台を彩る音楽には三味線や琴、胡弓などがありますが、三味線(棹・胴)や箏を製作する技術や、弦楽器の糸(絃)に用いられる原糸(繭から操った糸)を製造する技術もあります。
- 箏
- 写真提供:邦楽器製作技術保存会