マリヒメお嫁入り
の巻①

~伝統的な工芸技術~

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無形文化財のひとつに、陶芸、染織、漆芸、金工、木竹工といった、伝統的な工芸技術があります。これら高度な技術には、伝統的な原材料と伝統的な用具が欠かせません。こうした原材料と用具もまた、伝統的な生産・製作技法を今日まで伝えながら作られています。

現代の重要無形文化財保持者(人間国宝)の作品例
栗鼠に葡萄文蒔絵箱
作者:中野孝一(重要無形文化財「蒔絵」(各個認定)保持者)
所蔵:文化庁

蒔絵の作業風景

例えば、漆芸に用いる原材料「漆」は、伝統的技術で採取されたウルシノキの樹液です。漆の採取(漆掻き)は、幹の表面を傷つけ、少しずつにじみ出る樹液を、専用のヘラで掻き取って行います。漆は漆芸になくてはならない原材料ですが、質の高い漆の確保には、掻き手の熟練が必要なことはもちろん、ウルシノキが成長する長い時間が必要です。

ウルシノキと漆

漆の採取(漆掻き)

また漆を塗る際に用いる用具「漆刷毛」は、伝統的技術を受継ぐ数名の職人によって作り続けられています。使い手が求める高品質かつ多種の刷毛を製作し続けることは用意ではなく、加えて、原材料である人毛の入手等にも課題を抱えています。

漆刷毛
漆刷毛に用いる人毛

このように、原材料の多くは自然物であり、その生産や収穫は、天候等に左右されるほか多くの手間と長年の経験を必要とします。また、用具の製作にも多くの手間と長年の経験が必要とされ、近年では用具に使われる原材料の入手も難しくなりつつあります。