マリヒメお嫁入り
の巻①

~伝統的な工芸技術~

よく来てくれた!

おぬしはこの国一番の腕前の漆職人だと、噂に聞いておったのじゃ。

ははぁ!

ありがたき幸せにございます。

さて、今日来てもらったのは他でもない。

ついに可愛い我が娘のマリヒメが嫁入りすることになったのじゃ。

嫁入り道具には、これまで誰も見たことがないような、豪華な品々を持たせなければならない!

それを作って欲しいのだ!

まずは器からかのぉ。

承知いたしました。

私の名にかけて、最高のものをお作りいたします。

では早速、最高級の漆を確保いたします。

私の相棒とも言えるとても腕のよい漆採り職人がおりますので、早速聞いてみましょう。

漆なら我が城にあったはずじゃから、それを使えばよいぞ。

とにかくすぐにとりかかるのじゃ。

何をおっしゃいます!

漆は、採る場所、採る時期、採る職人によって、全く性質が違います。

最もふさわしい材料を選ぶことも、私の技術のひとつです!

それが出来ないとなれば、中途半端な嫁入り道具を作るわけにはいきませんので、このお話はお断りさせていただきま…

待て待て、悪かった。

そう、最高級の嫁入り道具を作るには、ふさわしい漆が必要なのだな。

腕のよい漆採り職人と協力して、とにかく最高級のものを作ってくれ!

承知致しました。

では次に、最高級の道具の用意にも取りかからねば。

こちらも知り合いに道具作りの名人がおりますので、早速声をかけましょう。

道具なら、わが城にもあったはずじゃ。

わが城にはなんでも揃っておるからな、好きに使ってよいぞ。

何をおっしゃいます!

私の技術を発揮するには、経験豊かな道具作り職人が作った良い道具が欠かせません。

最高級の品物一つ作るにも、皆の協力が必要なのです。

殿にお許しいただけないとなると、このお話しお断りさせていただき…

いっ、いや、待ってくれ!

ワシはなんとしても最高級のものを姫に持たせてやりたいのじゃ。

最高の技を持つ職人たちの力を合わせて、どうかよろしく頼む!

流石、殿。ありがとうございます。

早速、漆を塗る刷毛から用意いたします。

マリヒメさまのため誠心誠意作らせていただきます。

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