マリヒメ様がもうすぐお嫁入りなんて、感慨深いですなぁ。
あら、タクミノスケは私がいないと寂しくなるんじゃないかしら?
そうですなぁ、姫様にはいつも手を焼いておりましたからなぁ、この城も静かになりますな。
そうだ、姫様!
姫様の嫁入り道具にと、殿が格別なお道具や衣裳を準備しておられますぞ。
ご覧になられますか?
ちょうど職人たちも来ておりますので、お話を聞いてみてはいかがですか。
え、見たいわ!
一体どんなものがあるのかしら?
お着物を入れる箪笥に、お膳やお椀などの食器。
鏡や櫛といったお化粧道具にお裁縫道具。
筆や紙を入れる文房具に、良い香りを焚くためのお香道具などもありますな。
ややっ、こっちには貝合わせや双六などの遊び道具もございますぞ。
すご~い!
こんなに色々あるのね。
どれもツヤツヤした深い黒色に、金銀のキレイな絵が描かれているのね。
素敵!
これは蒔絵と言って、丁寧に漆を塗り重ねた上に金銀の粉をまいて、炭で研ぎだしたものでございます。
物語の絵や自然の景色、四季の花や鳥などを表しております。
ところどころに、家紋もちゃんとあしらっておきました。
とっても素敵だわ、ありがとう!
わぁ!こっちには素敵なお着物があるわ。
よく見ると細かい模様がたくさんあるのね。
こちらの花嫁衣装は打掛や唐織、小袖と言って、複雑な絵柄を染めたり、金や銀などたくさんの色糸を用いて模様を織り出しております。
また、草花や鳥を表した刺繍など、様々な技を駆使して、我々職人が心を込めてお作りいたしました。
そしてこれは…刀かしら?
こちらはマリヒメ様のお家に代々伝えられた大切な刀に合わせて、柄、鞘、鍔、金具など、お嫁入り道具としてふさわしいめでたい絵柄をあしらったお守り刀でございます。
それぞれの分野の職人が力を合わせてお作りいたしました。
お気に召していただけますとこの上ない喜びにございます。
こんなにたくさんの素敵な衣裳や道具に囲まれてお嫁入りするのね!
職人さんたちが力を合わせて丁寧に作ってくれたものだもん、ずっと大事にするわね。
ありがとう。
姫様もお転婆はほどほどに、このような格式高い品々に恥じぬよう、おしとやかで気品あふれるお方になってくだされ。