先日の台風で、城の石垣も被害を受けたと聞いたが、どうなっておるか?
はい、殿。
数か所で石垣が崩れたようでして、ただいま状況を確認し、石材を調べさせているところです。
そんなのんびりしたことでどうする!すぐに積み直すのじゃ!!
殿、わたくしもそう思いすぐに職人を呼んだのですが、どうやらそうもいかないようなのです。
崩れた石材がどの位置にあったのか、石材は破損していないか、再び使用することができるかなど、まずは調査が必要なのだそうで。
なるほど。
元の状態に戻すのも簡単にはいかない、ということなのだな。
よし、それでは町中の人々を集めてとりかかれ!
そうすれば早く元どおりになるぞ。 褒美ならたっぷりやろう。
実はわたくしもそう思ったのですが、これもそう簡単にいかないようなのです。
石垣がどのように積まれていたのか? 石材は何か?など、
石垣のことをよく理解するために専門の技術が必要なのだそうです。
そんな職人がいるとは、知らなかった!
人を集めればよいというものではないのじゃな。
すでに職人たちを呼んで作業に取りかかっております。
現場を見に行かれますか?
うむ、そうじゃな! そうしよう。
皆の者、ご苦労である。
何か困っていることはないか?
ずいぶんと地道な作業に見えるが・・・
これはこれは殿!
ありがたきお言葉。 石垣を積む技術は多くの知識と経験が必要なため、技術を習得した者が少なく、困っております。
更に適切な石材がこのあたりで調達できなければ、全国から探して来なければなりません。
うーん、なるほど。
石材を確保し、石積みの職人も育てなければ、文化財はまもれないということなんじゃな。