文化財は先人の築き上げた大切な遺産であり、私たちはこれを保存して後世に伝えていく重大な責務があります。そして、この重要な責務を果たすためにも、文化財の保存に欠くことのできない伝統的な技術、または技能が不可欠です。
文化財保護法では、文化財の保存のために欠くことのできない伝統的な技術または技能である「文化財の保存技術」のうち、保存の措置を講ずる必要のあるものを「選定保存技術」として選定し、その保持者や保存団体を認定する制度を設けています。この制度は、文化財を支え、その存続を左右する重要な技術を保護することを目的としており、技術の向上、技術者の確保のための伝承者養成とともに、技術の記録作成などを行おうとするものです。
昭和50年(1975年)、文化財保護法が大幅に改正され「選定保存技術」の制度が創設されました。現在までに随時選定・認定が行われ、保持者・保存団体による伝承者養成事業の実施をはじめ、技術の保存・伝承に多くの努力が払われています。