伝統建築工匠の技とは

木・草・土などの自然素材を建築空間に生かす知恵、周期的な保存修理を見据えた材料の採取や再利用のしくみ、健全な建築当初の部材とやむを得ず取り替える部材との調和や一体化を実現する技、これらを含む建築修理の技術です。

これらの技術は、日本の木造建築遺産とともに古代から途絶えることなく伝統を受け継ぎながら、工夫を重ねて発展してきました。法隆寺をはじめとする歴史的建造物の保存修理には欠かせない技術ですが、現代の建築物では用いられることが少なくなっています。

「伝統建築工匠の技」は、木工・屋根葺・左官・装飾・畳など、17の伝統的建築技術(文化財保存技術)で構成されています。これらの技術は、文化財建造物の保存とともに、持続可能なストック型社会の実現に大きく貢献することができる、木造建造物を受け継ぐための伝統技術です。

伝統建築工匠の技の一覧

(国の選定保存技術に選定されています。)

選定保存技術 保存団体
建造物修理けんぞうぶつしゅうり (公財)文化財建造物ぶんかざいけんぞうぶつ
保存技術ぎじゅつ協会
建造物木工けんぞうぶつもっこう
(一社)日本伝統建築にほんでんとうけんちく
技術ぎじゅつ保存会
檜皮葺ひわだぶき柿葺こけらぶき (公社)全国社寺等ぜんこくしゃじとう
屋根工事技術やねこうじぎじゅつ
保存会
茅葺かやぶき
檜皮採取ひわださいしゅ
屋根板製作やねいたせいさく
茅採取かやさいしゅ (一社)日本茅葺にほんかやぶ
文化協会
建造物装飾けんぞうぶつそうしょく (一社)社寺建造物美術しゃじけんぞうぶつびじゅつ
保存技術ぎじゅつ協会
建造物彩色けんぞうぶつさいしき (公財)日光社寺文化財にっこうしゃじぶんかざい
保存会
建造物漆塗けんぞうぶつうるしぬり
屋根瓦葺やねがわらぶき
本瓦葺ほんがわらぶき
(一社)日本伝統瓦技術にほんでんとうかわらぎじゅつ
保存会
左官さかん日本壁にほんかべ 全国文化財壁技術ぜんこくぶんかざいかべぎじゅつ
保存会
建具製作たてぐせいさく (一財)全国伝統建具ぜんこくでんとうたてぐ
技術ぎじゅつ保存会
畳製作たたみせいさく/
手織中継表製作ておりなかつぎおもてせいさく
(一社)文化財畳ぶんかざいたたみ保存会
装潢修理技術そうこうしゅうりぎじゅつ (一社)国宝修理装潢師こくほうしゅうりそうこうし
連盟
日本産漆生産にほんさんうるしせいさん
精製せいせい
日本文化財漆にほんぶんかざいうるし協会
日本にほんうるし技術ぎじゅつ
保存会
縁付金箔製造えんつけきんぱくせいぞう 金沢金箔伝統技術かなざわきんぱくでんとうぎじゅつ
保存会

★2020年11月17日、ユネスコの評価機関より「伝統建築工匠の技」をユネスコ無形文化遺産に登録するとの勧告がありました。この勧告により、12月17日に開催された政府間委員会で登録が最終決定されました。

ユネスコ無形文化遺産に登録された「伝統建築工匠の技:木造建造物を受け継ぐための伝統技術」の統括団体です。「伝統建築工匠の技」を構成する国選定保存技術の認定保存団体を正会員とし、「伝統建築工匠の技」の一体的な保存、活用及び発展を図るとともに、国内外への発信を行っています。